テクニック

【筆塗り】下手でもカッコよく塗装する方法

筆塗りの上手い下手って何だと思いますか?

私はこんなことで悩んでいました

・筆塗りが苦手で思ったように塗れない
・筆ムラがでてしまう
・味がある塗装がしたい
・苦手だけど楽しみたい
・好きなことが上手くいかない

筆ムラって嫌ですよね。

あるだけで下手っぴに見えてしまうし
自分自身では上手くコントロールができないから難しいです。

エアブラシと比べてしまえば、完全にムラのない塗装なんかは不可能かと思います。

では、その筆ムラをムラとして認識する要因は何だと思いますか?

それは筆の跡ですよね。

つまり、筆で塗ったんだなという感じの線が出ているから作品として違和感がでてしまうのだと思います。

なら、線ではない状態を作れれば、
筆で塗ってもそれを筆ムラという表現はしないのではないかと考えたわけです。

この考えから完成した作品がこちらです。


・すごい
・上手
など、Twitterで思った以上に褒めていただけました。
うれしかったです。

でも、私は筆塗りが苦手なんですよ。
下手な自分でもかっこいいと思ってもらえる作品ができたと思うと誇らしい気分にもなります笑

今回は、そんな私が行った塗装方法を具体的に紹介していきたいと思います。

上記のサザビーがかっこいいと思っていただけたら、
簡単な方法なので、ぜひ真似してみてください。

少なくとも、綺麗な筆塗りをするような手先の器用さは必要ありません。




ドライブラシで凸凹の下地を作り、クリアーカラーで発色させる

ドライブラシは、ガンプラでもよく使用される技法で
筆につけた塗料をあえて拭き取ってから、パーツに擦り付けるというものです。

一度拭き取る事で、筆に残ったわずかな塗料が
エッジなどの色が付きやすい場所に付着して、立体感を強調したり、チッピング(塗装の剥げ表現)
などに利用することができます。

このドライブラシの特徴である、少ない塗料を擦り付けるという方法で
ランダム性のある筆ムラを作ることで

それを筆ムラとは認識されず
そういう表現であるというような わざと感が出せるんです。

この方法で下地を作り、クリアーカラーで出したい色に発色させる。
これが今回紹介する方法です。

では具体的に手順を説明していきます。

-手順-

1.黒サフを塗る
2.ドライブラシでピンクを乗せる
3.クリアーレッドで全体を塗る
4.乾燥したら完成

必要な道具

・塗料
・筆
・ティッシュやペーパータオルなど(塗料を拭き取ります)
・筆洗い用の水(塗料が乾くと筆にこびり付きます)
・(パーツ保持ように持ち手などあると便利)

使用した塗料

【シタデルカラー】
ピンク
・FULGRIM PINK(LAYER)
クリアレッド
・BLOOD ANGELS RED(CONTRAST)

【グリーンスタッフワールド】
黒サフ
・MATT SURFACE PRIMER

使用した筆

【タミヤ】
・平筆(中)→黒サフ
・平筆(小)→クリアーレッド

【クレオス】
・ウェザリングブラシ(soft)→ピンク

1.黒サフを塗る

なにはともあれ黒サフです。

この塗装方法では、
最終的にモールド部分を暗く残すことでスミ入れと同じ効果を狙います。

黒サフに関しては何でも大丈夫だと思います。

ただの黒塗装でも大丈夫だと思いますが

ドライブラシの作業で塗料がのりやすいように、ざらつきのある塗面が望ましいです。
なので、光沢塗装はお勧めしません。

今回は、エアブラシを持っていなかったり、そんな環境は無理という方もいると思うので
私が使っている、筆塗りできるものを使用して説明します。

この黒サフの塗装

ボトルから直接パーツに出して、塗り広げていきます。

塗った直後は筆ムラが出ていますが、乾けばそんなに気になる感じではないですね。

2.ドライブラシでピンクを乗せる

ドライブラシの手順

筆に塗料をつける

ついた塗料を全て拭き取るのは勿体無いので
フタで拭ってある程度落としています。

ペーパータオルで塗料を拭き取る

円を描くように拭き取ります。
この時のペーパーへの付き加減によってドライブラシのしやすさが変わります。

今回は2回くらい拭き取った量で作業を進めています。
(これは目安なので、実際に行うときは拭き取り加減を調整してください。)

ツンツンと筆先で薄く色を乗せる

筆先で軽く突っつくようにすることで、塗料の付き過ぎを防げます。
この状態で一度乾かしてから次の工程に進みましょう。

はじめから筆を移動させて塗装した場合

・筆に残っている塗料が多い状態で、筆を横移動させると画像のようになります。
これだと筆ムラみたいになってしまいますが、広い面であれば後からリカバリー可能です。


・3回くらい拭き取った状態で、ドライブラシをするとエッジ部分に多く色を付けることができます。

表現したい具合に合わせて、塗料の拭き取り量を調節すると良いです。

今度は、バサバサという感じで筆を動かして塗料を擦り付けていく

・モールドがあるところは、それをまたぐように筆を動かすとモールド内に色が付きにくくなります。(こうすることで、奥まった箇所は暗い色合いにすることができます)

これを繰り返して、ピンクの発色を好みの段階まで進めます。

全部のパーツが同じではなくても、同型のパーツのみの塗り具合を同じにして
場所ごとにムラ感を変えて作っていくと面白いかもしれません。

・モールド付近は塗りすぎない
・筆についている塗料の量を意識する
・塗り重ねるときはある程度乾いてから
・下地が明るいほど、次のクリアーも発色する

3.クリアーレッドで全体を塗る

この塗料はボトルから直接塗っていけますが、あまり多すぎない程度に筆に取ります。

一度、筆を塗料につけてからボトルのフチで余分な塗料を拭っていきます。

平筆の平面をそわせるようにする方法と

側面をそわせる方法を使い分けて、落とし具合を調節しています。

・広い面なら、平面を一回
・狭い面なら、平面と側面を一回ずつ

こんな感じが使いやすい量でした。

この塗料は塗り広げていく感じで使用するとやりやすいです。

塗り始めると、色の濃い部分(溜まり)ができるので
その部分の塗料を伸ばしていくイメージで薄く広げていきます。

・溜まりを作らないようにする
→薄く伸ばした方が発色がいい(多く塗ることで暗い感じになる)

・端から端までを意識して筆を運ぶ
→細かく筆を動かすと、筆ムラが出やすい

・筆先を意識して塗り広げる
→筆を押し付けて作業すると、エッジ部分に溜まりができやすい

・乾き掛けで溜まりを2度塗りすると剥げる
→溜まりは早めに薄く伸ばしておく(後から気づいた場合はそのままの方が味になるので放置)

・ディテールの多い部分は筆を押し付け気味にすると隙間に入る
→薄く伸ばしているだけだとモールド内に色が付かなくて下地がでてしまう(筆先で細かく塗るのもあり)形状によって工夫すると良いです。


・塗った直後はなんだかザリガニみたいです。


・コントラスト以外でもクリアーカラーならいいのか実験
テクニカルのレッドを使用してみました。

結果は

濃度調節が難しく、筆ムラがすごい笑
これを見れば、私が筆塗りが苦手だという事が分かってもらえると思います。
(発色に関しては、下地が影響するので赤というよりはピンクですね)

4.乾燥したら完成

乾いた状態がこんな感じです。

作品の方では、この上にトップコートつや消しをしようしています。
つや消しを吹く事でより滑らかな感じになるみたいです。

以上、筆塗りが苦手でもかっこいい作品ができる塗装方法の紹介でした。

いかがだったでしょうか。
簡単な方法だと思いませんか?

シタデルカラーのコントラストシリーズは、色の種類も豊富で下地による影響が強く出ます。
下地もいろんなものを試して、自分が求める色が表現できるかもしれません。

今回作ったのはサザビーだったので赤で行いましたが、方法そのものは同じなので
他の機体でも応用できると思います。

最後にこの塗装方法のメリットとデメリットを考えてみましょう。

メリット

・筆ムラが目立たないので、上級者でなくてもいい感じの仕上がりになる
・モールド部分に下地の黒を残す事でスミ入れをしていなくてもメリハリがつく
・ポイントさえ抑えれば、手先が器用でなくてもできる

デメリット

・均一な色の塗面はできない
・塗り分けがあるパーツには向かない(もう一工夫する必要がある)
・塗料を原液の濃度で拭き取って行うので、消費が激しい
・人によっては、このムラ感が気持ち悪いかもしれない

確かに全ての筆塗り作業において、今回の方法が使えるというわけではありません。
使い所が限られる方法だとも思います。

ですが、メリットに目を向ければ
簡単でかっこよく、完成度が上がる方法と言い換えることもできるかもしれません笑

筆ムラは完成度が下がるしカッコ悪い
でも色ムラは、そういう表現にみえてかっこいい。

そんな感じの塗装方法の紹介でした。

ps.
上手い下手の違いとは、自分自身が思うようにできたかどうかの違いだと私は思います。

また、作品の完成度を上げるのが技術力ならば、
その技術(テクニック)とは方法論であり

知識上、経験上知っているかどうかではないでしょうか。

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